* 文圃文献類従42 *  [復刻版]  小林昌樹―編・解説

『図書週報』―昭和前期書物趣味ネットワーク誌


『図書週報』は、

関東大震災後の出版資本主義時代下の

出版界・読書界・古本界の複雑な情勢を

一目要覧せしめる


『図書週報』は、

日本近代書誌学・地域刊行物・軟派書などの

「特殊」出版物に関する報道機関である


『図書週報』は、

昭和前期の社会生活に切実な関連を有する

各種研究文献目録を記録


一、現役の主題書誌として……

帝国図書館本には件名が付与されておらず、戦前の和書を主題から一覧できない状況に現在なる。

それゆえ戦前に作られた主題書誌はいまだに有効であり、『図書週報』に掲載されたものもそうだ。

それらを丹念にたどっていけば、必ずや民俗学など当時は新興の知識体系や趣味が成立する瞬間の失われた関連文献を得られる。


二、知のネットワークを再現するために……

当時の新しい知識分野、いわく書誌学、いわく民俗学、方言学といった知的体系の形成プロセスに併走。

学の形成過程では、〈文献の蒐集≒学の形成〉とすら言える。


三、出版流通史の得難い資料として……

近代書誌学の一ジャンルないし隣接領域として近代出版史があるが、その「研究」ははじまったばかりであり、なかでも流通、小売・書店についての研究は手薄だ。

個別業界史を知るには、業界内でのみ流通するディレクトリ(名簿類)や業界誌を参照する必要があるが、それらの残存状況はきわめて悪い。

そもそもどのようなものがあったのか自体が判然としない。

しかし『図書週報』は一般向けの専門誌であるにもかかわらず、途中からの性格の変化により業界誌としても参照できるのである。


四、ゴシップ、人物消息……

『図書週報』後期は古本業界誌の性格を強めたが、一方で、あくまで一般読者のための雑誌から出発したため、業界内のことがらを、読者(消費者)から記述するというスタンスが取れるのも、本誌の強みだ。


五、意図せざるツールとして機能する広告欄……

古典社自身の不要資料を売りたてるために設けられていた販売書誌のページから、当時、どのような書誌関係の出版物が存在していたかが分る。

もちろん、古書店が出稿した古書販売目録も、古書店の存在時期や性格を雄弁に物語るものであろうし、専門店であれば主題書誌の代替機能も果たせよう。




【第一回配本】2015 年2 月 ISBN978-4-907236-31-1

 1 巻(340 頁)……『図書週報』1 ~ 50 号(1930 年3 月~ 1931 年4 月)

        *解題、総目次、著者名索引

 2 巻(300 頁)……『図書週報』51 ~ 119 号(1931 年5 月~ 1933 年12 月)

 3 巻(320 頁)……『図書週報』120 ~ 166 号(1934 年1 月~ 1937 年12 月)


【第二回配本】2015 年6 月 ISBN978-4-907236-32-8

 4 巻(330 頁)……『図書週報』167 ~ 178 号(1938 年1 月~ 1938 年12 月)

 5 巻(308 頁)……『図書週報』179 ~ 186 号(1939 年1 月~ 1939 年8 月)

 6 巻(290 頁)……『図書週報』187 ~ 192 号(1939 年9 月~ 1940 年2 月)


【第三回配本】2015 年10 月  ISBN978-4-907236-33-5

 7 巻(330 頁)……『図書週報』193 ~ 199 号(1940 年3 月~ 1940 年10 月)

 8 巻(326 頁)……『図書週報』200 ~ 205 号(1940 年11 月~ 1941 年6 月)

 9 巻(256 頁)……『図書週報』206 ~ 210 号(1941 年8 月~ 1942 年7 月)

        『古本月報』1 ~ 7 号(1946 年6 月~ 1947 年3 月)

 10 巻(340 頁)付録資料編

編・解題ー小林 昌樹(国立国会図書館) 原本発行ー古典社

造  本ーA5 ・上製函(10 巻のみ並製)総3,140 頁

価  格ー全巻揃予価180,000 円(各巻18,000 円) 配本毎分売可


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