* 文圃文献類従 20 * [編集復刻版] 柴野 京子-編集・解題
「電子書籍元年」と喧伝される二〇一〇年、
出版概念はゆらぎ、流通という問題が前景化する。
出版流通というメディアは読者に何をもたらしたか
可視化されにくいメディアの近代の経験をたどる。
「出版の危機」をビジネス的な視点ではなく、
読者・社会と書物の関係として考える。
小脇に携帯すべき資料を集成する初の試み・出版。
【第1巻】 430頁
◎『全国書籍業聯合会史』同会編・発行/1941年
*附録資料=解題「『出版流通メディア資料集成―書籍雑誌業団体史編』について」
全国書籍業連合会――本会は東京書籍商組合を始め、各地方の書籍商組合の連合体であつて、図書の定価販売励行を最も大きな使命とする中央統制機関。これを通じて明快で汎用性の高い産業組織が全国的に整備された点が重要。組織に加盟しない者への書籍販売を禁じる規約改正をして、1937年、全国書籍業聯合会に改組。
【第2巻】 434頁
◎『東京書籍商組合五十年史』同組合編・発行/1937年
◎『東京書籍商組合五十年史追補―昭和十二年五月~十六年七月』
同組合編・発行/1941年
東京書籍商組合――販売業者の団体は内地他、樺太台湾朝鮮満洲等の植民地各一組合宛、合計五十三組合あり、その中で最も共通性を持ち最も代表的地位にあるものが本組合。
活動は、近代に即した書籍販売のスタイルを確立し産業化する点にあり、規約を明文化し、「書籍」ないし「書籍商」、「書籍取引」がどのようなものであるか、その方向性を統一化。1887年、近代日本の出版界で一番早く組織されたという点からみても重要。
【第3巻】 430頁
◎『東京雑誌販売業組合廿五年史』同組合編・発行 1939年
◎『東京雑誌販売業組合史補遺―自昭和十四年三月至昭和十六年七月』
同組合編・発行 1941年
東京雑誌販売業組合――1914年雑誌発行業者の日本雑誌協会が創立、同年全国雑誌販売業界に向って、販売統制の必要と、定価販売励行の急を告げ、翌年本組合が創立。その後、定価販売励行、景品添付の厳重取締、雑誌回覧業者の取引停止、新規加入者の距離制限の制度確立等、あらゆる方法で販売業者の福利を図る。時勢の進展と共に雑誌の需要が激増して来たので本組合は短日月の間に長足の発展を見るに至る。
【第4巻】 332頁
◎『出版新体制の話』 田代金宣 日本電報通信社出版部 1942年
日本出版配給――いわゆる戦時新体制運動の一環として計画・実施された出版産業の構造改革=「出版新体制」。その要諦は、紙と流通を統制し、物資と情報の両面から出版活動をコントロールすることであった。出版流通については全取次会社を解散・統合して、1941年日本出版配給を設立した。最大のポイントは、雑誌・書籍の合体と地方取次を支店として回収した点にある。
【別巻】 316頁
◎『聖代の奇怪事―雑誌回覧業者に対する東京雑誌販売業組合幹事の暴虐なる処置を見よ』
稲井治作 同発行 1922年
◎『書籍商組合の改革』 式正次編 精華書房 1932年
◎『書籍専業論』(書店研究パンフレット) 西村辰五郎 学習社 1935年
編・解題ー柴野 京子(東京大学大学院、歴史社会学・出版メディア史)
附録資料―解題、全四巻・別巻総目次
造 本―A5判・糸上製函・総約1,942p 限定80セット
揃 価―95,000円(配本毎分売可) 各巻19,000円
配 本―第一回:2010年11月……1、2巻 ISBN978-4-907789-75-6
第二回:2011年3月 ……3~別巻 ISBN978-4-907789-77-0